偽のモテ期にご注意を

結局、薦められた服を着て、食事を食べて戻ってきたのだ。

自分の部屋のクローゼットに、存在感たっぷりにかかっている服を眺めて、小さくため息をついた。

『好きにならない方が可笑しいでしょ』

相手は体の関係だけを求めているのに、自分は心も繋がりたいと思い始めている。

『邪魔臭い相手にならないようにしないと』

恋人が欲しい訳ではないと最初に言われたのだから、この好きになりそうな気持ちは封印しておかないといけない。

それでも、溢れてしまう気持ちを抑えるのは苦しい。

『人を好きになるってこんなに苦しいものだったかしら』

静まり返った部屋の中で、ため息だけが響いた。
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