他人と何度も重ねたくちびるで、愛して
*
「はぁ……」
今朝の怒声は、確かに、小林に向けられたものだった。
しかし。
「あ、小林と同じ委員会の村川も」
と、ついでのごとく呼ばれてしまった。
小林が委員会をサボりすぎているから、反省文を書けと言われていたのだが……
『村川、小林に委員会の仕事を教えて、反省文を書くのを楽にしてやれ。あと、逃げ出さないように監視よろしく』
と命名されてしまった。面倒なこと、このうえない。
私は部活に入っていないし、今日もひとりで、さっさと帰ってやろうと思ってたのに。
『帰りたい』
と愚痴を言う小林にイライラしながら、やっと苦行を終えたのだった。
『帰りたいって……部活あるでしょ?』
もし、反省文を放っても……彼は部活に行くしかない。逃げ道は、ないのだ。