他人と何度も重ねたくちびるで、愛して







「はぁ……」



今朝の怒声は、確かに、小林に向けられたものだった。



しかし。



「あ、小林と同じ委員会の村川も」



と、ついでのごとく呼ばれてしまった。



小林が委員会をサボりすぎているから、反省文を書けと言われていたのだが……




『村川、小林に委員会の仕事を教えて、反省文を書くのを楽にしてやれ。あと、逃げ出さないように監視よろしく』



と命名されてしまった。面倒なこと、このうえない。



私は部活に入っていないし、今日もひとりで、さっさと帰ってやろうと思ってたのに。



『帰りたい』



と愚痴を言う小林にイライラしながら、やっと苦行を終えたのだった。



『帰りたいって……部活あるでしょ?』



もし、反省文を放っても……彼は部活に行くしかない。逃げ道は、ないのだ。
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