さよなら、センセイ
「皆、本当に、おめでとう。
全員、進学が決まって、うれしい。
すごいね、頑張ったね!」

もう、ヒロを見ることが出来なくて、握手もせずに、皆へと目線を変えた。

「若月先生のおかげっすよ。頑張れば俺たちだって出来るってこと、教えてもらったんですから!」

「ホント、センセイに見送ってもらえて嬉しいっすよ。
山中のあの大バカ妄想ヤローのせいで、センセイがクビにされそうなった時は焦ったよなー」

「しかもよー丹下を相手に持ってきたとこがスゲーよな。
丹下となら“もしかしたら”って、思わせられたもんなぁ」

「オイ、それ、どういう意味だよ」

ヒロのツッコミに大きな笑いが起きる。
ヒロも笑っている。


ーーあぁ、ヒロは、いつもと変わっていない。
私が居なくても、変わっていない。

安心、しなくちゃ。ヒロは、大丈夫。

大丈夫じゃないのは、わたしだけ。
大人のくせに、
さよならと言われたのに、
ウジウジと想いを断ち切れない。

でも、ヒロ。
少しくらい、淋しいって思って欲しかったな…


「めぐみ先生、私達が抜けた後の水泳部もよろしくお願いします。
後輩達にも、勝つ楽しさ、教えてあげて」

綺羅の言葉に、恵は、ハッと我にかえる。

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