さよなら、センセイ
「若月先生!」

プールには先客がいた。ヒロは慌てて入り口の柱のかげに隠れた。


「あ、山中先生」


先客は英語教師の山中だった。恵はプールの中から頭を出している。


「若月先生の歓迎会、英語教師の集まりでやりたいんですけど、急ですみません、今日、空いてますか?」


ーー英語教師の集まりっていったって、山中と外国人講師のボビーとエマとサンディとダニエルじゃねぇか。山中のやつ、下心見え見えなんだよ。

ヒロはプールに目をやる。

「わぁ、ありがとうございます。
大丈夫です。プールの後片付けして支度をするのに少し時間がかかりますけれども」

「構いません。ボビーとエマの英語部もまだ終わりませんし、サンディとダニエルと僕はまだ仕事が残っていますから。
支度が出来たら職員室に来てください」

「はい、分かりました」


そんな笑顔するなよ。山中のやつ、水着を見に来たんだぞ。


山中がプールを後にすると、恵はプールから上がりタオルで体をふきだした。

ヒロはゆっくりと入り口を抜けてプールサイドに向かおうとしたが…



「あ、ヒロ、こんな所にいた。ねぇ、お茶して帰ろ?」

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