破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
涎を垂らす勢いで語り、チラシを見せて紹介してくれたから来たのだと、訪れた客の口から何度か教えられたのは、手伝いで店に立つザックだ。

実は、ザックも集客に一役買っている。

ザックの役割は客の案内係なのだが、女性客の中にはザックを見かけて足を止め、店に貼られたチラシのスイーツに興味が湧いて列に並ぶという者も多くいた。

また、昼前には意外にも男性客が多かったのだが、それはノアが笑顔で可愛くチラシを配っていた効果によるものだ。

ちなみにエヴァンはというと、宿の裏手にある氷が保管されている氷室で、ソフトクリームを冷やす氷をくだいて運ぶという役割を担っている。

こちらは客ではなく、男性従業員のハートを掴んでいるようで、鍛え方を教えてほしいと頼まれているのを、アーシェリアスは一時間ほど前に小耳に挟んでいた。


(エヴァンさんはさておき、ゆらたま亭を訪れるきっかけがザックやノアちゃんっていうのはちょっとアレだけど、スイーツを食べたお客さんの反応は凄くいい。あとは口コミとリピーターさんが増えたら、きっとまた繁盛する宿になりそう)


時折、店内から聞こえてくる「美味しい」や「幸せ」という声に、アーシェリアスは笑みを零しながら、ふわふわの厚焼きパンケーキの上にソフトクリームを絞り出す。

続けて、今朝、タイミング良くシーゾーがくれた大容量の黒蜜をソフトクリームにかけた。


(お客さんたちに喜んでもらえて良かった)


パンケーキにデコレーションしていくアーシェリアスは、まずまずの成果に繋がったのではないかと安堵し、笑顔でパンケーキの乗った皿をカウンターに置いた。

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