皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

玄峰さんの次に博文さんも口を開く。


「実は私たち、わけあって離宮に滞在することになりまして」
「離宮!?」


もしかしてなんて頭をよぎったけれど、本当にそうだったなんて。
でもそれじゃあ、皇族関係の高貴な人たちなんだわ。


「申し訳ございません。なにも知らずにこのような汚いところでおもてなしなど……」

「私たちが押しかけたんですよ」


博文さんは頬を緩める。
たしかにそうではあるけれど。


「ただ、このことは内密にお願いしたい」


『わけあって』と濁したということは『聞くな』と同義語なのだろう。

香呂帝が渡られる準備なのかもしれないが、私が聞いたところで関係がないし黙ってうなずくことにした。


「……承知しました」

「それで生活をするにあたり、食べ物の確保をせねばなりません。それで昨日この辺りに市場がないか散策していたのですが見当たらず、お聞きしました」


なるほど、一、二日の滞在ではないということか。
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