皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

村に戻ると、そのまま離宮に向かうことになった。

なんと村の外れに馬がつながれており、博文さんの馬に乗せてもらうことに。

初めての乗馬に「うおっ」とか「わわっ」とか叫んでいるばかりだった。

馬がいるなら、市場にも乗って行けばよかったのにと思ったけれど、これ以上目立ちたくないのかもしれない。


離宮の大きな門の前に立つと、妙な緊張に襲われる。

後宮ではないので出られないわけではないし、料理を作ったらすぐに戻るつもりだが、後宮に入る女性の覚悟を耳にしていたのでそんな気分になったのだ。

玄峰さんが重そうな扉を開くと、ギギギーッと音を立てる。
ずっと使われていなかったので蝶番が錆付いているのかもしれない。

目の前には開いた口が塞がらなくなるほどの大きな宮殿。

皇帝の住まいである昇龍城は見たことすらないけれど、離宮でもこの規模なのだからとてつもなく立派なのだろう。


「こちらへ」


ふたりはすぐに馬を大きな木に結び、私を促した。
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