皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

ということは劉伶さまは文官でありながら武官でもあるの? 
しかも、最高位ってとんでもない逸材なんだ。


「まあ、それはいいじゃないか。話を戻すね。それで、それなりに認められていた俺を蹴落としたい人間がいたんだろうね。食事を運んできた彼はうまくいっても死罪。失敗しても口封じに殺される。どちらにしても自分の命を懸けた行為だったってことなんだ。それでもやらなければならないと彼を追い詰めた人間がいるんだなと」


瞬時にそんなふうに考えられるのは、やはり明敏な頭脳を持っているからだろうか。
とはいえ、自分の命が危ういときに、そんなに冷静に考えられるとは。


「だからと言って、劉伶さまが毒を口に含むなんて……」

「うん。実はかなり迷った。俺だって死にたいわけじゃないからね。それで、口に含んで『味が薄い』と吐き出したんだ」


そうか。そうすれば味の好みが合わなかったということで済む。
料理を運んできた人の責任ではなくなる。
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