皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
食欲がなかったという劉伶さまが目を輝かせているのを見て、ほっとした。
「でも今日の料理は、劉伶さまの水毒を解消するためのものですので、物足りないかもしれません。腎に作用したり水分を輩出したりする効果がある料理ばかりです」
「いつもそんなことを考えて作っているの?」
「いえ。ちょっと体調が悪いなと思えば、それに効きそうな食材を取るようにはしますが、いつもはここまで注意しません。食事はおいしく食べるのが一番いいと思うんです。ただ、弱っている方には、それなりの料理を用意します」
劉伶さまの質問に答えると、私の隣に座った玄峰さんが「へぇ」と感嘆の溜息を漏らしている。
「玄峰より賢そうですね」
「うるさいな、博文」
ふたりのやり取りをクスッと笑った劉伶さまは、早速匙を手にした。
「あっ、待ってください。私が毒見をします」
もちろん毒なんて入っていない。
けれど、先ほどの話を聞いたら、それを証明したほうがいい気がした。