皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
「ありがとうございます。おやすみなさい」
「あぁ」
ぶっきらぼうにそう言った玄峰さんは、すぐに出ていった。
朱色の褥にはきらびやかな刺繍が施されていて、ひと目で一流の品だとわかる。
こんな素晴らしいものを纏うのは気が引けて恐る恐るくるまった。
緊張で眠れないかもしれないと思ったのに、今日はいろいろあったからしばらくすると眠りに落ちていった。
「麗華さん」
誰かが呼んでいる気がして目を開くと、月が南の高いところに上っている。
「麗華さん、夜分にすみません」
この声は博文さんだ。
私は急いで扉を開けた。
「起こして申し訳ない。劉伶さまが……」
「どうかされました?」
「来ていただけますか」
「はい」
静寂を緊張の糸が縫う。体調が急変でもしたのだろうか。
彼のあとに続いて足を速める。
「実は以前からなのですが……劉伶さまは夜中にうなされるのです。今も唸っていまして。もしも麗華さんに診ていただいて原因がわかるならと思いまして」