皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

「博文さん。水に布を浸して持ってきてください。発熱はないようですが、汗が皮膚に残ったままですと体が冷えます」

「わかりました」


博文さんはすぐに出ていき、代わりに玄峰さんがやってきた。


「劉伶さまはいつもこの調子なのですか?」

「そうだな。あの日からほぼ毎晩。毒が少しずつ抜けてくればよくなると思ったんだが、元気にはなってもうなされることはなくならない」


大きな玄峰さんが肩をがっくりと落とす。
『あの日』というのは毒を盛られた日のことだろう。


「心に傷を負われているのではないでしょうか」
「心?」


昼の様子を見ていると、唸るほど具合が悪いとは思えない。

あと考えられるのは心。
私も両親を立て続けに亡くしたあとは、しばらく熟睡というものからは遠ざかっていた。


「はい。眠りにつきやすいものを用意しましょう。ゆり根があったはず」


ゆり根は神経の高ぶりを抑える効果があり、不安感や不眠を和らげる効果がある。
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