皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

どうやら信頼は得られているようだ。

それから玄峰さんが私の部屋から衾を持ってきてくれたので、それに包まり椅子に腰かけたまま劉伶さまを見守った。


朝まで数回、彼は唸り声を上げた。
しかしその度に手を握るとまたすとんと眠りに落ちる。

毎晩この調子だったのなら、随分睡眠が不足しているに違いない。
不眠というのは万病のもとでもあるので、体調がなかなか戻らないのはこのせいもしれないと感じた。


「麗華」


ん? 呼んだ?

誰かが私を呼んでいる気がするが、眠り足りなくて目を開けたくない。
しかし、ガクッと椅子から落ちそうになり、誰かに支えられた。


「危ないよ」
「あっ、劉伶さま! おはようございます」


ふと窓の外を見上げると、太陽がすでに上がっている。
朝食を頼まれていたのに寝すぎてしまった。


「まさか麗華のほうが闖入(ちんにゅう)するとは。俺のこと、襲いに来たの?」

「襲いになど……。私には劉伶さまを殺める理由などありません!」
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