皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
「しかし、麗華の作る食事はうまい」
劉伶さまは機嫌よく匙を口に運ぶ。
それほど褒められると、欣快(きんかい)の至りだ。
私でも役立つことがあるのだと。
「ありがとうございます」
「しかも昨晩はよく眠れたしなぁ。なにをしてくれたの?」
「あっ……額の汗を拭って……」
『手を握りました』とはどうしても言いだせない。彼を安眠に誘いたくて尽瘁(じんすい)しただけ。
といっても、朝方眠ってしまったけれど。
歯切れが悪かったからか博文さんが口を挟む。
「麗華さんは『なにも心配いりません』とおっしゃり、劉伶さまの手をしっかり握られていただけです。それで安心して眠りに落ちたのでしょう」
あぁ、知られてしまった。
きまりが悪くてうつむくと、「麗華」と聞いたことがないような艶やかな声で、劉伶さまに名前を呼ばれた。
「はい」
「ありがとう。君の手も料理も俺には救世主だ」
「そんな」