皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
「ありがとうございます。でも、いなくなってしまわれるのですね」
村を救うと言っているのだからもっと喜悦すべきなのに、一抹の寂しさを感じるのは、三人との生活を失いたくないからだ。
「俺はとある役割から逃げてきたんだ。なによりも平穏な生活がしたくてね。だからこの半年は吉夢でも見ているかのようだったよ」
彼は核心をぼかす。
“どこ”に行くのかは言及しないし、その役割についても触れない。
けれど、彼は安易な行動はしないと確信しているので、あえて聞かないことにした。
そもそもこの離宮にやってきた理由も知らないのだから。
「大国を成すには、隗より始めよだ。国民の生活を守れなければ、北方の国など手に入るわけがない。香呂帝の尸位素餐(しいそさん)をなんとかしなければ」
香呂帝の名が出てどきりとする。
劉伶さまたちが高貴な出の人たちだとはわかっている。
でも、皇帝をなんとかできるほどの人たちなの?