皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
後宮に入った女官ですら、一生香呂帝の顔を拝見できないことのほうが多いと聞く。
それほど高いところにいるお方だ。
不満が渦巻いていたとしても、飲み込むしかないのが私たち。
それなのに、なんとかできるの?
いや、簡単にそんなことができるはずもない。
「麗華、ここで見聞きしたことは決して話してはならない。お前の身の安全が危ぶまれるからね」
「私の?」
「あぁ。麗華は俺たち三人にとって、家族のような存在になった。お前がいたからここでの生活が楽しくて、俺もこうして頑健(がんけん)な体を取り戻した。今度は俺たちが麗華の生活を守る番だ」
話すなと言われれば他言などしない。
しかし、彼の発言の端々に強くそれでいて切羽詰まったような感情が見え隠れしていて、胸騒ぎが止まらない。
「戻ってこられますよね」
「あぁ、また会おう」
彼の笑顔を見てようやく安堵の胸を撫で下ろした。