皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
それから十日。
私たちは今までと変わりない生活を楽しんだ。

しかし、玄峰さんは私のいない昼間はどこかに出かけることが多く、疲れが出たのか顔が火照り、舌が真っ赤になっている。

“陽盛”の状態である気がしたので、体の熱を抑える茄子と彼の好きな牛肉を合わせて生姜の効いたしぐれ煮を作ったり、熱を取り除く効果のある葛で葛茶を作って飲んでもらったりした。

もともと体力がある彼は、すぐによくなったんだけど。


そして、最後の朝を迎えた。

私ひとり劉伶さまの部屋に呼ばれ、彼と向き合う。
いつもより顔つきが精悍に感じるのは、思い過ごしだろうか。


「麗華。今まで本当にありがとう。お前と出会えて俺は初めて幸福を知った」
「そんな……」


そんなふうに思っていたとは驚きだ。


「お前が誰かを元気にしたいと奔走する姿を見なければ、俺は逃げたまま生涯を閉じたかもしれない。だが、与えられた役割はまっとうすべきだと思い直した」

「それは、どう……」
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