皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
その役割について聞きたくて途中まで口を開いたものの、その先は閉ざした。
ずっと核心に触れないのには理由があると感じているからだ。
「お前は困った人がいると放っておけない性分らしい。それで助けられた俺が言うのもなんだが、自分も大切にしろ」
「劉伶さまもです。薬膳料理番がいなくなるんですから、一層体には気をつけてください」
「そうだな。また麗華と酒を酌み交わしたい」
彼は柔和な笑みを見せる。
「それに、この手も」
私の右手を不意に握った劉伶さまは、優しい手つきで撫でる。
なすが儘にされていると、寂しさが胸にこみ上げてきて視界がにじむ。
するとそれに気づいた彼は、私を強く抱き寄せた。
添い寝を始めたとき、手以外には触れないと約束した彼にこうして抱きしめられたのは初めてだ。
それが別れのときだとは、なんて皮肉なのだろう。