お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
しばらく進むと、天井丸ごと水槽で囲まれたマリントンネルがあって、ふたりの周りを群れを成した回遊魚たちが優雅に泳いでいった。

「うわぁ、エイのお腹、笑っているみたいでかわいいですね!」

「本当だ。なんだかちょっと澪に似てない?」

「え!? なんですかそれ、ひどくないですか!?」

「自分でかわいいって言ってたじゃないか」

「じゃあ柊一朗さんはこれです。サメ。お高くとまってる感じが」

「俺もかわいいやつがいいな……さっき砂から顔を出してたアレとか」

「まさかチンアナゴ!? あはは、柊一朗さんはそんなにかわいくないです!」

進んでいくと、順路の奥にイルカのプールが見えた。その先には、パフォーマンスで使うドルフィンスタジアムがあるようで。

「もうすぐ十八時だね。見に行こうか」

私たちはスタジアムに入り、プールを円形に取り囲んだ客席の、真ん中あたりに座った。

関係者も立ち会うらしく、広々とした客席にぽつぽつとスーツ姿や作業服姿の人影が見える。
< 121 / 294 >

この作品をシェア

pagetop