お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「! ベッドが濡れちゃいます」

「そのうち乾くよ」

羞恥心から体の前でクロスさせた手を、彼はあっさりと引き剥がし、ベッドの上に押さえつける。

私の体の上に跨って、滅多に見せることのない真剣な眼差しで私のことを覗き込む。

「……そんな顔で、見つめないでください」

「……そんな顔で、うつむかないでくれ」

彼の体から雫がひたひたと垂れてきて、そのたびに体がヒヤリとする。

びっしょりと濡れたシーツが肌にまとわりついてきて、ぶるっと震えが走り、彼の腕をきゅっと掴んだ。

「さ、寒いです」

「大丈夫。すぐに温めてあげる」

そう言って私へ口づけを落とすと、熱く火照った逞しい体を、私の上に重ね合わせる。

「あ……」

確かに、彼の体は温かい。触れていると、寒さなんて吹き飛びそうだ。

その上、彼の口づけが首筋から鎖骨、胸元へと滑り落ちていき、体温がどんどん上昇していく。

胸の膨らみをかぷりと食まれ、「っ――」たまらず私は声なき声をあげた。唇をかんで耐えないと、変な声が漏れてしまいそうだ。
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