お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「もう……かまないでって……言ってるのに……」

「ごめん。澪を見ていると、どうしても食べたくなっちゃって」

はむ、はむ、とそこら中にかみついて、その度に私はびくびくと体を震わせる。

たぶん、終わったらまた体中がピンク色で染められているのだろう。桜の花びらが散らされたみたいに。

それを鏡で見て、私は思いしらされるんだ。この身は彼に愛されたんだって。

「しゅう……いっ……あ……うぅっ」

全身の味を確かめるつもりなのだろうか、びっくりするところに唇を這わされ、あふれ出る吐息が止められない。

私がひとつ声をこらえるたびに、彼の真剣な表情に安堵が浮かんできて、それがとてもうれしい。

「ああっ! あっ……」

思わず大きな啼き声を漏らすと、彼は卑猥な笑みを浮かべ、艶やかに笑った。

もっともっとと容赦ない愛撫をもたらす。理性を保つために押さえた声が、全部裏目に出て彼を昂らせていく。
< 271 / 294 >

この作品をシェア

pagetop