お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「もう! 穂積さんってば強引なんだから! 私が行かないって言ったら、どうするつもりなんですか?」

「行くでしょ?」

「い、行かないかもしれないじゃないですか!」

「でも、待っててくれたし」

「だって、それは、ラテが飲みたかったから……」

「なら、俺の作戦は成功だ」

勝ち誇った笑みを浮かべる彼が、ちょっと憎らしい。

確かに、ラテに惹かれてしまった時点で私の負けは濃厚なのだけれど。

「もしかして、忘れ物をしたのもわざとですか?」

「さぁ。どうだろうね」

「……もし私じゃなく、上村さんが届けに来たら、彼女と食事に行くつもりだったんですか?」

じいっと上目遣いで覗き込めば、彼はぴたりと足を止め、ひょうっと眉を上げる。

「……嫉妬?」

「ち、違――」

「絶対、立花さんが来ると思ってたよ。上村さんは今日中に終わらせなきゃならない給与関連の書類作ってたから外出できないはずだし。なにより――」

もう一度、私の手からバッグを受けとり自分の肩にかけると、彼は強引に歩き出した。

「電話番号。立花さんに渡してって、あらかじめ営業の中野さんに指名しておいたから」

それ、完全に確信犯じゃない! 呆れて開いた口が塞がらない。

ツカツカと歩き始めた彼を、私は慌てて追いかけた。
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