お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
すっかり遅くなってしまった帰り道。

外は一雨あったらしく、地面は濡れ、ひんやりとした風が吹いていた。

酔い覚ましに一駅歩こうと言われ、ひとけのなくなった静かなオフィス街を彼と一緒にのんびり歩く。

賛同したのは、単純に彼ともう少しお話がしたかったからだ。

思いのほか一緒にいる時間が楽しかったせいで、さようならをするのがちょっぴり寂しいとさえ思う。

「穂積さん、話し上手ですよね。敏腕って呼ばれている理由がわかった気がします。だから契約もバンバン取りつけちゃうんですね」

仕事ももちろんだけれど、プライベートでもスマート。なんでもそつなくこなす、パーフェクトガイ。

本当に、今、私の隣を歩いているのがもったいないと思うくらい、魅力的な男性だ。

彼がその気になれば、美女をたくさんはべらせることが出来るだろうに。

私のペースに合わせてのんびり隣を歩く彼は、自覚はあるはずなのに謙遜しているのか、「俺、そんなふうに言われてるんだ」と白々しく濁した。
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