お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
興味が勝りバッグを開くと、中には名刺ケースがふたつ。

ひとつは、私が発注して彼へ渡したもの――『新海エレクトロニクス株式会社 営業部 穂積柊一』と刻まれた名刺が入っていた。

厳密にいえば彼はうちの社員ではないのだが、営業をするときはこの名刺を使ってほしいと頼んだのだ。

そして、もうひとつの名刺ケースに入っていたのは……。

「これって……!」

思わず驚きに声をあげてしまった。

名刺に刻まれていたのは、かつて嫌というほど目にしたロゴマーク。

私が二年前に退職した『日千興産株式会社』のロゴだ。

中央にでかでかと書かれていたのは、名前と役職。

『取締役 専務 千堂柊一朗』。

「取締役……専務って……」

その名刺が、何枚も何枚も出てきた。もらったものではない、あきらかに、配るために用意されたもの。

「どうして彼がこんなものを……?」

まさか彼が、あの会社の上位役員だというの……?
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