迷惑なんて思ってないよ
顔を見上げると、晴人の腕に力がこもった。どうして凛太郎くんへの気持ちを訊いたんだろうって思っていたけれど、高校生と言ってもまだ子供。私が離れていくのが怖いだけだったんだ。
両親が亡くなってから私は晴人を第一に、晴人は私を第一に考えて生きてきた。だから、私の気持ちが晴人から離れていってしまっていると怖がっているんだ。
どれだけ誰かを愛しても、私の中にあるのはいつも晴人だけなのに。凛太郎くんを好きになったのだってそう。諦められなくなるくらい溺れられたのだって、晴人にも優しくしてくれる人だと感じたから。晴人にも優しくしてくれるだろうと感じさえしなければ、好きにもなっていなかったと思う。
怯えないでと伝えるように晴人の背中を擦った。たった二人の家族だもの。簡単に捨てられる訳がない。離れられる訳がない。大好きな両親の生きた証を粗末になんて出来ないよ。
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