迷惑なんて思ってないよ
俺も靴擦れを知っておきながら歩かせるほど鬼じゃない。仮に歩かせて姉ちゃんに会わせれば靴擦れの事を余計に心配させてしまうし、津田さんたちや慶太郎先輩がいたら女の子には優しくしろとか文句を言われそうだし。彼女を背負っていく事は俺にとって、面倒を免れる一つの方法だった。

「早く乗れよ、面倒臭い・・・」

「じゃあ・・・、お言葉に甘えて・・・」

彼女は姉ちゃんより身長が低いのに重かった。彼女を背負う事で姉ちゃんの軽さがどれだけ異常であるのかを知った。元々、同級生と比べて細かったから異常である事は分かっていたんだけどまさかここまで違うとは思わなかった。
いや、重い事が悪いんじゃない。背負っているって実感出来るから、今背中にいるんだって実感出来るから嬉しかったんだ。姉ちゃんはいなくなっても気付かないくらい軽いから。
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