迷惑なんて思ってないよ

放っておいて

見付かるはずがなかった。お嬢様やお坊っちゃま、少し裕福な一般家庭以上の人たちが通う緩いこの高校で床に頭を着けてベッドの下を覗く人なんているはずがなかったから。それに、あの声は一年生の中で一番可愛いと言われていた金持ちの女の子。ここが一番安全な場所だった。鞄も同じ所へ隠した。他の子たちとは違って持ち物が少ない私の特権だった。
私はそのまま焼き肉へは行かなかった。凛太郎くんが帰ってこない内に部屋のお風呂を使い、体操着に着替えてからそのまま眠った。
海を見た後でお腹なんて空くはずがなかったんだ。海の中で普通に遊んでいる人たちを見たくなかった。そのまま波に足を取られて流されて行ってしまいそうでとても怖かった。でも、近くにいた凛太郎くんにそんな事を話す事も出来なくてまた作り笑顔で誤魔化していた。
幸い、車での移動の時しかしっかり点呼を取らないこの高校の修学旅行。行かなかった所で支障はないはず。
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