天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
泰介の車には、いっぱいの野菜とお花が積み込まれた。
お母様と夏輝さんに見送られ東京へ向かう。

ひたすら無言の車内。

「辛かったら寝ていていいから」
泰介が声をかけてくれるけれど、声は硬い。

「ごめんなさい」
「何が?」
「・・・」
返事に困った。

「何があったんだ?いきなり機嫌が悪くなるような原因があるなら教えてくれよ」
「・・・」

「夏輝がいたことが気に入らなかった?そのことは謝るよ。知らなかったとは言え、申し訳なかった」
「そんなこと・・・」
「ない?じゃあ何なんだ。何であんな子供みたいな態度を取るんだよ。不満があるなら後で俺に言えばいいだろう」
「ごめんなさい」
「謝るくらいならしないでくれ。もう少し大人の対応をしてくれ。今日は相手が母さんや夏輝だったから良かったけれど、社会に出ればそれですまない相手も多いんだ」
「すみません」

ヤバイ、泣きそう。
でも、泣かない。
悔しいから、絶対に泣かない。
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