天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
泰介や夏輝さんに比べたら、私はとても子供だと思う。
それは年齢や外見だけではなくて、精神的な意味で。

「爽子さんどうしたの?」
こうしてお母様から声をかけられるのは何度目かになる。
原因は私が黙ってしまったから。

夏輝さんと話してから、私は落ち込んだ。
もちろん、最低限の礼節は保っているつもり。
でも、愛想笑いをしたり、無理に会話をしようとはしない。
要は拗ねた子供の状態。

「長時間の移動だったから、疲れたんだろ」
泰介が必死にフォローしてる。

悪いとは思う。
本当なら、何もなかったかのように、笑顔でいなくてはと思う。
でも、私にはできない。
子供だと言われるならそれでもいい。
私は夏輝さんが・・・嫌い。

「爽子、疲れたんなら帰ろうか?」
たまりかねた泰介が腰を上げた。

「ごめんなさい」
さすがに申し訳なくて謝ってしまった。

お母様だって泰介だって、久しぶりに会ってゆっくりしたいはずなのに・・・

「爽子さん、またいらっしゃいね」
「はい。ありがとうございます」

「私は明日の朝までいるから、何かあったら知らせるわ」
「ああ。頼む」
夏輝さんと泰介の会話。
やっぱり嫌だな。
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