天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「子供じみていて物足りなくはあるだろうけれど、つきあってみてもらえないだろうか?」
いや、それは・・・
「僕1人で決めることではありませんし」
「それはそうだな。爽子には後で確認するとして、君は了解してくれたと思っていいのかな?」
「はぁあ、まあ」
「そんなに気負うことはない。時々会って食事をしてもらうだけで十分だから」
「はあ」
元々断るつもりだった見合い話が妙な方向に流れているのは確かだが、別に結婚を迫られたわけでもないし、爽子さん自身がどう言うかわからない。
それに、天然で無邪気な爽子さんを見ていると癒やされるのも事実だ。
ここはひとまず、流れに任せた方が良さそうだ。


その後、お母さんの手料理もてなされ、お父さんお酒を酌み交わした。
爽子さんのお父さんは穏やかでとっても人当たりが良く、経営者特有の刺々しい感じは全くなかった。
爽子さんのふんわりした印象はこの環境のせいなんだと俺は感じた。

日付が変わる直前まで高杉家で過ごし、
「泊って行きなさいよ」
と言うお母さんをやっとの事で振り切って、俺は帰宅した。
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