天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「今日は本当にありがとう。とっても楽しかった」
夕食も終わり部屋でくつろぎながら、爽子が口にした。

「俺も、楽しかった」
爽子と過ごす時間は心から安らげる。

「ねえ、どうする?もう少し飲む?」
冷蔵庫を覗きながら、これからどうするかと聞いている。

「爽子が飲みたいなら付き合うよ。バーもあるみたいだから飲みに出てもいいし」
「うーん。私はもう十分だけれど」
「そう、じゃあ・・・寝る?」
「そうね」

「・・・」
「・・・」
ぎこちなく視線を泳がせる俺と爽子。

「電気、消すわね」
「ああ」

爽子が立ち上がり、入り口へと向かう。
ったく、これじゃあまるで10代のガキじゃないか。
いい年して、俺は何をしてるんだ。

その時、
「あーっ」
爽子が大きな声を上げた。

「何?どうしたの?」
「蛍。窓の外に蛍が飛んでいたの」
「えー、本当に?」

窓に駆け寄り一生懸命外を覗いている爽子。
しかし、今は9月の終わり。
もう蛍の季節ではないはず。

「見間違いじゃないの?」
「違う。本当に飛んでいたんだから」
拗ねたように頬を膨らませる。

かわいいなあ。
でも・・・
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