ヴァンパイア†KISS
「カレン!」

シエルが後ろからわたしの肩に触れた。

「なに?シエ……ル」

振り向いた瞬間、シエルの唇がわたしの顔の目の前にあった。

「……ふぐっ!」

驚いて叫び声をあげようとしたわたしの口は後ろから大きな手によって塞がれた。

「ざ~んねん!もう少しでカレンにキスできたのに~」

目の前でシエルが悔しそうに口を尖らせる。

「私の目の前でさせるわけがないだろ、シエル」

わたしの口を塞いでいるデュオが後ろからわたしを抱きしめため息をついた。

「ヒュオ…ふるひい(デュオ…苦しい)!」

「ああ、悪い」

デュオが慌てて手を離してやっと息ができるようになったわたしは大きく息を吸った。

ほんとに、何度こんなことやるんだか…。

シエルは隙を見つけてはわたしに何度もキスを試みた。

そのたびにデュオが止めてくれてるんだけどね。

「あ~あ、僕もはやく大きくなってデュオ兄さんみたいな大人のキスがしたいなぁ」

「お前にはまだ早いよ」

デュオはそう言って横からわたしの肩を抱くと、シエルに見せびらかすようにその唇でわたしの唇に触れ、「ちゅっ」と音を鳴らした。

「いいなぁ、デュオ兄さん…」

天使のような微笑で、シエルはため息をついた。










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