危険な愛に侵されて。



「涼雅のものなのに、昨日あんなんだったのか。静はダメな女だな」

「……っ」


こいつら、本当に私から離れてほしい。
ふたりして言葉攻めか。

耐えられない、本当に恥ずかしい。


「そ。こいつはフラフラ女だから、そばにいねぇとすぐどっか行く」

「確かに昨日も隙だらけだったな」
「だろ」


すると今度はふたりして意気投合し、何やら笑い出してしまう。


「……ふたりって仲良いのか悪いのかわからない」


ふたりに笑われると、それはそれで不服だ。


「静のことになると仲悪いよ、俺たち。
昔からそうだよな」

「ああ。昔は結構祐樹のこと怖かった」


自然に話し笑い合うふたりだったけれど、間に挟まれた私は違和感を覚え。

ドクンと心臓が大きな音を立てる。


「───昔?」

ひとり言のようにボソッと呟けば、ふたりはハッとしたような表情へと変わる。


「……なんでもねぇよ」

さっきまでどこか懐かしむように笑っていたというのに、雪夜は無表情へと変わり低い声を出した。


何それ。
雪夜の態度が不服だ。

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