危険な愛に侵されて。



「……なあ」


そんなことを考えていたからだろうか。

突然彼に声をかけられ、思わず肩がビクッと跳ねてしまう。



「ど、どうしたの?」


ちゃんと女子高生の私を演じるため、明るい笑顔を浮かべた。

まるで彼の言葉に期待するかのようにして。


「───学生だったんだ?」


何か意図を込めたような言葉。
落ち着け、私。


おそらくすぐそばにいる彼は気づいている。
私があの日、彼の命を狙った相手だと。

けれど私だってバレるわけにはいかない。
周りに察せられることも許されない。


「え?何のこと?」

わざと気づいてないフリをするけれど。
もちろん彼がスルーしてくれるはずもなく───


「……っ!?」

スカートの上から太ももに左手を置いてきた彼。
その手つきは明らかにいやらしいもので。



「な、にして…」

ゆっくりとその手が下へと滑っておりていく。

当の本人は右手を自分の頬に当てて肘をつき、意地の悪い笑みを浮かべていた。

< 27 / 370 >

この作品をシェア

pagetop