危険な愛に侵されて。
「……なあ」
そんなことを考えていたからだろうか。
突然彼に声をかけられ、思わず肩がビクッと跳ねてしまう。
「ど、どうしたの?」
ちゃんと女子高生の私を演じるため、明るい笑顔を浮かべた。
まるで彼の言葉に期待するかのようにして。
「───学生だったんだ?」
何か意図を込めたような言葉。
落ち着け、私。
おそらくすぐそばにいる彼は気づいている。
私があの日、彼の命を狙った相手だと。
けれど私だってバレるわけにはいかない。
周りに察せられることも許されない。
「え?何のこと?」
わざと気づいてないフリをするけれど。
もちろん彼がスルーしてくれるはずもなく───
「……っ!?」
スカートの上から太ももに左手を置いてきた彼。
その手つきは明らかにいやらしいもので。
「な、にして…」
ゆっくりとその手が下へと滑っておりていく。
当の本人は右手を自分の頬に当てて肘をつき、意地の悪い笑みを浮かべていた。