危険な愛に侵されて。



「ですが私は幻滅したわけではありません。
むしろその逆です」


ふっ、と小さく息を吐き。
今度は恍惚としているようにも見える。



「これを乗り越えればもっと雪夜様は強くなる。
それこそ神田様と肩を並べるほど。

神田様は白野様と出会ったことにより、さらに強くなられた。ああ、本当におふたりは私を幸せな気持ちにさせる」


これはもはや狂気だ。

言い方は悪いかもしれないが、宮木さんは狂っているのだと。



穏やかで誠実そうに見えて、場違いなように見えて。
実は神田組の一員としてぴったりな人間なのである。



「その時を楽しみにしております、雪夜様。そのために私は今、心が揺れておられる雪夜様のお目付役となっているのです」


にっこりと満面の笑みを浮かべる宮木さんに、少し雪夜が怯んだような気がした。

まるで図星だというかのようで───



一体雪夜は、何で心が揺らいでいるというの?



「それでは御園様、あなたが雪夜様の将来にとって良いスパイスになることを願っております」


この一瞬で見えた宮木さんの本性。

それに対しての恐怖心を隠しながら、私は雪夜と一緒に彼の部屋へと入った。

< 295 / 370 >

この作品をシェア

pagetop