危険な愛に侵されて。
「離して、帰る」
「じゃあ今日はお前の家行くか」
「は?何馬鹿なこと言って…」
「ホテルよりそっちのほうが都合いいだろ?」
思い切り睨んでやる。
誰が雪夜を家に呼ぶか、ふざけるな。
好き勝手やられるのが目に見えているというのに、家にあげるわけがない。
「誰もあんたを家に呼ぶなんて…」
「お前に拒否権、あると思う?」
脅しに近い言葉。
断ればどうなるかだなんて、ある程度はわかる。
きっと彼はどんな手を使ってでも私の家にあがる気だろう。
どうにか打開策はないか。
そう考えた時、ひとつの考えが思いついた。
家に来るのならば、逆に殺めるチャンスではないか。
家にあるのは凶器となる刃物に拳銃。
拳銃に至ってはベッドの下に眠っているはずだ。
いつでも触れられる位置に準備してある。
「───じゃあおいでよ、私の家」
今度こそ失敗しないように、殺気を察知されないように。
『今日も負け』だと彼は言ったけれど、まだ“今日”は終わったわけではないのだから───