危険な愛に侵されて。



「第一あんたには選べる女、たくさんいるでしょ?」
「いるけど全員つまんねぇ」

「……何、私は楽しいみたいな言い方」
「実際そうだったし。相性も良いみてぇだしな?」


どうやら相性が良いと思っていたのは私だけではないらしい。


「そんなことない」


もちろん認めることはプライドが許さないため、否定するけれど。


「でもお前とやった時、理性が飛びそうだったんだよな。そんな経験、意外と初めてかも」


ドキッとした。

それは私にも当てはまる部分が多いことだったからだ。


理性が狂わされ、保てなくなる。
その経験を私はほとんどしたことがなかった。

けれどこいつの時は───


復讐心よりも快楽を求めてしまい。

弱い弱い自分、つまり“女”としての自分になってしまったのだ。


その時、タイミングよく電車がやってきて。
私たちは中へと乗り込む。


「だから二度もやりてぇなんて女、お前が初めてかもな」

中は意外と混雑しており、座ることができない状態だった。


そのためか繋がれていた雪夜の手が、今度は腰へとまわされる。

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