危険な愛に侵されて。



「ちょうどいいだろ?
“表のお前”はイケメン好きらしいからな」

「ナルシスト…!誰があんたなんかかっこいいと思うか…!」


実際かっこいいと思ったけれど、反抗するため認める気は無い。



「きっついこと言うな」


本人はそう言うくせに、傷ついた顔ひとつせず。
平然とした様子で私の手を引く。

むしろどこか楽しそうにも見えて腹が立つ。



結局側からみれば恋人同士に見える形で駅まで行く羽目になった。


「ねぇ、本当に来るの?」
「今になって怖くなったのか?」


相変わらず人が苛立つような言い方をする雪夜。


別に怖くなったわけではない。
むしろ最終確認。

復讐したいと思っている相手の家に、普通は来るものだろうか。


それほどに、殺されない自信があるのか───


「俺は早くお前とやりたくてたまんねぇんだけど」
「一回本気でくたばれ」


最低なクズ男だ。

どうやら本当に、自分の欲を満たすためだけに私の家に来るようだった。

< 39 / 370 >

この作品をシェア

pagetop