危険な愛に侵されて。
「ちょうどいいだろ?
“表のお前”はイケメン好きらしいからな」
「ナルシスト…!誰があんたなんかかっこいいと思うか…!」
実際かっこいいと思ったけれど、反抗するため認める気は無い。
「きっついこと言うな」
本人はそう言うくせに、傷ついた顔ひとつせず。
平然とした様子で私の手を引く。
むしろどこか楽しそうにも見えて腹が立つ。
結局側からみれば恋人同士に見える形で駅まで行く羽目になった。
「ねぇ、本当に来るの?」
「今になって怖くなったのか?」
相変わらず人が苛立つような言い方をする雪夜。
別に怖くなったわけではない。
むしろ最終確認。
復讐したいと思っている相手の家に、普通は来るものだろうか。
それほどに、殺されない自信があるのか───
「俺は早くお前とやりたくてたまんねぇんだけど」
「一回本気でくたばれ」
最低なクズ男だ。
どうやら本当に、自分の欲を満たすためだけに私の家に来るようだった。