危険な愛に侵されて。




心を落ち着かせるため、静かにオムライスを食べ進め。


「食べ終わったなら帰って」


雪夜が先に食べ終えたのを見て、帰るように促す。
早く帰ってほしい。

そうでないと本気で手をかけたくなるから。


「……じゃ、また明日な」

それを読み取ったのか、雪夜は簡単に立ち上がり鞄を持つ動作をして。


「あ…これ、置いとくな。
あんま危険なもんは持つなよ?」


家に来てすぐに奪われた拳銃を返してくれるようで、ベッドの上に放り投げられる。


「あんたに言われたくない」


復讐するため、闇の世界に飛び込み。

子供である自分の心を捨てた。
体を捨てた。


「いつかそれが必要なくなるようにしてやるよ」
「……は?」


つまり私の命を奪うとでも言いたいのだろうか。
そんなこと屈辱でしかない。

親を殺された相手に私も殺されるだなんて───


「早く裁きを受ければいいのに」

別に命を奪うという復讐は敵わなくとも、刑務所に行くのならそれでも構わない。

とりあえず目の前の男が苦しむ姿を───



「さあ、どうなるだろうな」

彼は私に怯むこともなく、相変わらず余裕な笑みを浮かべていた。

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