危険な愛に侵されて。




「別に無理にとは言わないけど、苦しいなら……」


本当は苦しいよ。
これまでだって、今だって。

けれどそれを隠さないといけないから。
押し殺さないといけないから───



今すぐにも話を変えたくてどうしようかと黙って考えていると、祐樹も口を閉じた。

そして学校の最寄駅に着くまでの間、ふたりには重い空気が流れていて。



やっぱり自分は弱い人間だとか祐樹に心配ばかりかけさせているなと考えながら階段をおり、改札が見えたその時。


「……あ」

沈黙を破ったのは祐樹のほうだった。
それも驚いたような声。


少し俯き加減だった私も顔を上げてみれば───



「……雪夜」

最悪なタイミングとでも言うべきだろうか。
なんと視界には雪夜の姿があった。


「…はよ」

少し眠くてだるそうな顔をしながらも、挨拶をされる。



「涼雅も同じ電車で来たのか?」
「いや、反対側から」

「へぇ、地元には帰ってこなかったんだな」


何やら親しそうに話すふたりは最近出会ったようには見えなくて。

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