桜の花が散る頃に
その後夏実と話しながら、教室まで戻る俺。


「まじで言ってんの?満点取るとか。二ヶ月学校来てなかったのに?」

「勉強は学校じゃなくても出来るからねぇ。勿論本気さ、私出来ないことは言わないタチだし。」


だとしても満点は無理があるだろ。
あの県内模試一位の涌井ですら一年の時に数回取っただけで、まーこの賭けは両者失う物は特別無いけど…

涌井は絶対、それ見たことかって顔してドヤるだろうな…想像しただけで腹立つわ。

「てゆーか秋人はどーなんよ?テスト。」

「え、俺?俺は勉強はからっきしダメっすよー。俺、スポーツ推薦入学っすからね!」

俺のドヤ顔に、夏実は呆れた顔をした。
なんでだよ。スポーツ推薦でも良いじゃんか。

「うちの高校は進学校で部活は盛んじゃないけど、サッカーだけはバリ強くて、んで!俺クラブチーム入ってたから推薦断ろうと思ったけど頭の実力じゃ底辺の私立しか行けないから、しゃーなしここ入ってクラブチームも部活もやってんの!」

「…わーお、超例外生徒じゃん。でもねー、そこそこ勉強は出来た方がいいよ?スポーツ選手は特に、頭を使って戦術をだね…」

「俺は野性の勘ってやつが働くからいーの!」

ったく、どいつもこいつもバカにして。

確かにうちの高校は編入試験も難しいし、夏実は勉強は出来るんだろうけど。

「一応次期キャプテンなんすよー?」

俺がそう言うと、夏実はキラキラした目で、

「テスト終わったら一緒にサッカーやろ!」

と言った。
やっぱり運動も出来るタイプっぽい。

って言っても文武両道ちゃんと文片道君じゃ、文に費やす時間が違うよなー…







…なんて心配も、一週間後には綺麗さっぱり無駄に終わった。

【一,藍泉 夏実 2-A-1 500】
【一,涌井 学 2-A-30 500】

まさかの同点一位…この中間テストの発表の日、学年中に“藍泉 夏実”の名前が知れ渡った。

編入早々二ヶ月も学校を休んでいたにも関わらず満点を取った“美少女”

「…てことになってるけど、美少女は噂に尾ひれがつきすg」

「やっだー美少女だって!この学校の生徒は目が良い!凄く!秋人テメーはハズキルーペでも買ってきなさい?」

「別に誰もブスとは言ってないだろ!」

そうそう、夏実はどっちかっつーと“可愛い”より、“カッコいい”って印象。

変に飾らないとことか、
先生相手にズバッと本音言えるとことか、

そう、

一歩間違えれば空気読めない子って言われそうな類の“カッコいい”。

ってそんな事はどーでも良くて。

「わーくーいーくーん!」

やっぱり夏実ならそうすると思った!

嫌な予感続行。
涌井がいるであろう教室に向かっていく夏実を追いかける俺、である。
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