貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「尚縫にね、あなたを私の専属にってお願いしたら、年明けまで待ってほしいと言われたわ。いまはどこも人手不足なんだもの、仕方がないわね」

尚縫(ぬいのかみ)は花菜が所属する縫司の長官のことだ。
花菜が女御付きの女房になるかもしれないという緑子の予想は、あながち外れてはいないということになる。

ありがたいと感謝すると共に、今すぐ異動にはならないと知って、花菜はホッと胸を撫でおろした。

ようやく慣れてきた縫司の仕事を続けたいとも思うし、それよりなにより細殿で身を寄せ合って寝食を共にする親友の緑子と離れるのは寂しい。

「女御さまにそう言っていただけるだけで、とてもうれしいです」

「いいえ、こちらこそ、あなたが宮中に来てくれたことに感謝よ」

そう微笑む女御は相変わらず白く美しいが、その頬はかつてのように青白くはなく、ほんのりと赤味がさすほどに健康そうに見える。
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