貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「美味しいわ。とてもさっぱりしているわね。これならいくらでも食べられそうよ」

どちらかというと、濃厚なものよりもさっぱりとした味の方が女御は好きらしいとわかっている。

なのでヨーグルトを多めに入れた。
それが効を奏したということかもしれない。

「ありがとうございます。まだこちらにありますので、よろしければ召し上がってください」
「まあ、うれしい」

弾けた花のように微笑みながら、女御は客の方に向かって「あなたも感想を言っておあげなさいな」と言う。

几帳があるということは、お客さまは男性ということになのか。

――ん?

普通男性の客ならば、御簾を挟んで女房を介して対面するはず。

それがこんな風に、女御に会いに来て気安く話をする男性となると、まさか?

「まぁ、怪しい味ではないな」
それはまさに頭に浮かんだ通り、碧の月君の声だった。
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