貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
久々に晴れたこともあるのだろう。牛車を引く音や馬の嘶きや笑い声など、朱雀大路を行き交う人々の喧騒が聞こえてくる。
その声にはキャッキャと楽しそうに笑う小さな子供の声も混じっていた。
「ちょっとだけ、すぐに帰ってくるから、ね?」
今日の買い物は、どうしても必要があって行くわけじゃない。謎の人物『傀』からの届け物や、蒼絃が持ってきてくれた食材もあるので、当面の心配は何もなかった。
沢山採れた松茸で、嗣爺が他の食材を手に入れて来たし、藤盛家には珍しく炭も油も食材も十分なだけある。
いわばウインドショッピング。
あちこち覗いて、何かいい物があればというだけの気楽な買い物なのである。
なんとか嗣爺に安心してもらおうと、局(つぼね)に戻った花菜は、衣を並べて考えた。
髪がこうも長くもなければ顔を隠さずに買い物を楽しめるが、花菜とて貴族の姫である。やはり顔を隠したい。
――どうしたら、目立たないかしら?
その声にはキャッキャと楽しそうに笑う小さな子供の声も混じっていた。
「ちょっとだけ、すぐに帰ってくるから、ね?」
今日の買い物は、どうしても必要があって行くわけじゃない。謎の人物『傀』からの届け物や、蒼絃が持ってきてくれた食材もあるので、当面の心配は何もなかった。
沢山採れた松茸で、嗣爺が他の食材を手に入れて来たし、藤盛家には珍しく炭も油も食材も十分なだけある。
いわばウインドショッピング。
あちこち覗いて、何かいい物があればというだけの気楽な買い物なのである。
なんとか嗣爺に安心してもらおうと、局(つぼね)に戻った花菜は、衣を並べて考えた。
髪がこうも長くもなければ顔を隠さずに買い物を楽しめるが、花菜とて貴族の姫である。やはり顔を隠したい。
――どうしたら、目立たないかしら?