貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「はい」

花菜が座った目の前には、御簾が下りている。

内側には人がいるのだろう。
でも花菜のいるほうからは、何も見えなかった。

すると、中から声がした。
男性の声だ。

「藤盛の娘、花菜姫でよろしいですか?」

「はい!」

「つかぬ事を伺いますが、姫は雷に打たれて以来ずっと体調が思わしくないとか」

「いいえ、そのようなことはありません!」

扇を持つ花菜の手に力が入る。
体が弱そうだと思われては、失格になってしまう。

――なんとしても合格しなければ。

それまでは俯きがちになんとくなく顔を隠していたが、意を決したように花菜は背筋を真っ直ぐに伸ばした。
扇を膝の上に下ろし、しっかりと前を向く。

「ご覧の通り元気モリモリです!」
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