貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「花菜さんは明日から縫司(ぬいのつかさ)として裁縫の仕事をして頂きます」
「はい。わかりました」

試験の全てが終わった時には、あたりはすっかり暗くなっていた。
どうしても帰りたいという希望者を除き、受験生たちはこのまま宮中で過ごすことになった。

今夜ばかりは、まだお客さまである。
出された夕食を皆でとり、明日のために早々に休んだ。

体力に自信があるとはいえ慣れないことに緊張が続き、さすがに疲れたのだろう。横になってホッとする間もなく、花菜は深い眠りについていた。


次の日。

――さて、どうやって邸に帰ろうか。

夕べ泊まった受験生たちも、次々と迎えの車に乗り帰っていく。
このまま宮中に残って仕事をはじめてもいいことにはなっているが、改めて出直すという受験生がほとんどだ。

皆、手ぶらで来ているのでそれも当然のことであるが、花菜はどうしたものかと悩む。

なにしろ我が家には牛車がない。
歩いて帰るにも、着替えの着物もなかった。
< 96 / 331 >

この作品をシェア

pagetop