桜の城のノクターン
静かな時間が流れる。
二人はカウンターに座っていた。
紹介屋は奥の部屋へ下がっていった。
きっとミサちゃんを迎えに行ったのだろう。
相変わらず、ミサちゃんのクッションが置かれていた。
沈黙が漂う。
そこへコツコツ、と奥から足音が聞こえた。
紹介屋が戻ってきたようだ。
「お待たせしましたぁ~」
その右手にはミサちゃん…ではなく、書類の束が抱えられていた。
フェニルはてっきりミサちゃんを迎えに行ったと思い、紹介屋に尋ねた。
「今日はミサちゃんはいないんですか?」
その言葉に、紹介屋は少々驚いたように目を見開く。