君は僕のもの 【続】
「……っ」
あのいつもは猛獣の如く、樹と同種の美菜が大人しい。
同種っていうのは…
“ドS”
っていう、ものなんだけどね?
「美菜、ちゃん…」
何だか中学生の初めての告白みたいな。
そんな雰囲気があってこっちまで緊張してくる……
そのお陰でゴクリ。
生唾を飲み込んだあたしを見て樹は馬鹿にするような笑み浮かべてみせた。
…んっ!
ちょっと見下し過ぎじゃないの!?
ムッとしながらもあたしは視線をすぐに前のほうに持っていく。
「さっきはごめんね?…俺、ちょっと不安だったんだ。
もしかしたら美菜ちゃんは樹のこと、
…って」
後姿でも分かる。
きっと今の翔太くんは眉を八の字にしてシュンとしてるんだ。
そんな翔太くんを美菜は真剣そうに、けど深刻そうな顔で見つめてて……
やっぱりあたしが美菜と一緒にいた方が良かったかな。
なんて、今の美菜の心境も分からないあたしは不安になって隣の樹を見上げるようにして見つめた。
「…何?」
っう…!
何かまださっきのこと根に持ってそうな雰囲気だよぉ。