わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
大きく息を吸ってはああっと一気に吐き出した。

今日の空も青いけれど、珍しく大きな白い雲が多い。
私の心みたい。


結局、番って何だろう。

お互いが癒される関係で、クリフ様は優しいし常に寄り添ってくれる。でもそこには愛があるって思っていたのは私だけ?
クリフ様が私を側に置くのはそばにいると心身ともに疲れが取れる天然の医療器具みたいなものだったとか?

それに側室ってどういうことだろう。
あの工事をしている場所はクリフ様の私室と同じ棟。

この先、プライベートの時間を王妃になった私と過ごすのではなくてミーナ様と過ごすということ?
それとも、もともとミーナ様が恋人で私が割り込んでしまったのだろうか。

もやもやじりじりとして気分が悪い。

ミーナ様の言う愛情とは何なのだろう。
まるで愛されているのは自分だと言っているようだった。
クリフ様が私に感じるのは親子やペットに対する親愛の情みたいなものでいわゆる異性に対する性的なものではないと言いたいのだろうか。

そして私の気持ちも鱗の魔力のせいだとミーナ様は言っていた。

わからない、私には何もわからない。
やっぱり少しもわかっていなかった。

< 109 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop