わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
「クリフ様も食べて下さいね」

テーブルの上に並べた料理を指差して「私が作りました」とまた胸を張った。

この国の昼食は基本的に一品ランチらしい。
国民性なんだろうけど、昼食はあまり重要視されていないのだと言う。

だから、パスタだけ、サンドイッチだけというのが一般的な昼食だ。

その風習にケチをつけるつもりはないのだけれど、ここ数週間このクリフ様をはじめとした執務室の面々は主にクリフ様のせいで3食まともにとっていない日が続いていて、明らかに栄養不足になっている。

そんなこともあって今日はクリフ様のだけじゃなく他の人の分もランチを作らせていただいたのだ。

「すごいな。これをみんな楓が?」

へぇっと料理を見つめている。

「そうです。ただここの国の皆さんはお昼はたくさん食べないと伺ってますからワンプレートで栄養価の高いものを作ってみました」

ベーコンときのこのキッシュ、鶏のから揚げ、ベビーリーフと生ハムとトマトのサラダ、ゴボウのきんぴら、ビシソワーズとゴマとシソのおにぎり。

大きめのお皿に彩りよく盛り付けてきたつもりだ。

「他の者達もこれを?」

「そうですが」
眉をひそめるクリフ様に何かミスがあったのかとびくりとする。

クリフ様の好き嫌いを含め、不手際がないように厨房の筆頭調理人の方やスタッフの皆さんとヘストンさんに聞いて準備したというのに何か失敗してしまったのだろうか。

「ーーーいや、私でさえ楓の作ったものを初めて食べるというのに、アイツらまで一緒に楓の手作りを味わえるのかと思ってな」

綺麗なお顔を歪めてそんな事を言うなんて。
嬉しさでキュンキュンして身体が痺れてしまう。

「クリフ様」
思わずぎゅっと抱きついてしまいたくなる。恥ずかしくてできないけど。
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