闇の果ては光となりて
舞美の為にも、きっと別れた方がいい。
こんなママゴトを繰り返しても、意味がねぇんだ。
このままじゃ2人共幸せにはなれねぇよ。
どうやったら、舞美の俺への執着を無くす事が出来るんだろうな。
舞美だって、俺の事はもう好きじゃねぇだろう。
こいつから感じ取れるのは、愛情じゃなく執着だけだ。
いつかは別れを告げなきゃいけねぇ。
それを伸ばし伸ばしにしてる俺もまた、狡くて弱い人間だな。
樹弥の言うように、神楽が欲しけりゃ動くしかない。
あいつを好きなのかと聞かれたら、よく分かんねぇ。
だけど、神楽は俺の見つけた俺の子猫。
側にいて支えてやりてぇと本気で思うんだ。
舞美の作ったオムライスの味も感じないまま、流す様にかきこむ。
神楽の作ったカレーは美味かったのにな。
このオムライスは砂を食ってるみてぇだ。
ブーッブブ···ポケットの中のスマホが着信を告げる。
急いで取り出し相手を見れば樹弥。
あいつがこんな時間に掛けてくるなんて、緊急事態に決まってる。
スプーンを置くと慌て立ち上がった。
「悪い、樹弥から呼び出しだ」
それだけ告げ、舞美に背を向けた。
だから、あいつが俺の背中を見てほくそ笑んでいた事に、気付けなかったんだ。
「霧生、またね」
楽しそうな舞美の声に振り返る事なく、軽く手を上げ俺は部屋を飛び出した。
「もしもし」
急いで画面をタップして、スマホを耳に当てる。
『霧生、神楽が攫われた』
「どう言う事だ?」
コウの野郎、何してやがった。
自分がコウに神楽を押し付けた事を棚に上げ、怒りが込み上げた。
『とにかく急いで帰ってこい』
「言われなくても大急ぎで帰る」
乱暴に通話を切って、俺はマンションの駐輪場に駆け出した。
コウのヤツ、帰ったら殴ってやる。
神楽を守りきれねぇなんて、情けなすぎるだろ。
そう思っていた俺は、溜まり場で頭にぐるぐると包帯を巻き、あちこち傷だらけになったコウを見て、上げた拳を静かに降ろした。
神楽、どこに居る?
泣いてねぇか? 怯えてねぇか。
直ぐに助けてやるから、頼むから無事で居てくれ。
俺にもう一度、あの元気な顔で笑ってくれ。
お前の笑顔を二度と消したくねぇんだ。
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こんなママゴトを繰り返しても、意味がねぇんだ。
このままじゃ2人共幸せにはなれねぇよ。
どうやったら、舞美の俺への執着を無くす事が出来るんだろうな。
舞美だって、俺の事はもう好きじゃねぇだろう。
こいつから感じ取れるのは、愛情じゃなく執着だけだ。
いつかは別れを告げなきゃいけねぇ。
それを伸ばし伸ばしにしてる俺もまた、狡くて弱い人間だな。
樹弥の言うように、神楽が欲しけりゃ動くしかない。
あいつを好きなのかと聞かれたら、よく分かんねぇ。
だけど、神楽は俺の見つけた俺の子猫。
側にいて支えてやりてぇと本気で思うんだ。
舞美の作ったオムライスの味も感じないまま、流す様にかきこむ。
神楽の作ったカレーは美味かったのにな。
このオムライスは砂を食ってるみてぇだ。
ブーッブブ···ポケットの中のスマホが着信を告げる。
急いで取り出し相手を見れば樹弥。
あいつがこんな時間に掛けてくるなんて、緊急事態に決まってる。
スプーンを置くと慌て立ち上がった。
「悪い、樹弥から呼び出しだ」
それだけ告げ、舞美に背を向けた。
だから、あいつが俺の背中を見てほくそ笑んでいた事に、気付けなかったんだ。
「霧生、またね」
楽しそうな舞美の声に振り返る事なく、軽く手を上げ俺は部屋を飛び出した。
「もしもし」
急いで画面をタップして、スマホを耳に当てる。
『霧生、神楽が攫われた』
「どう言う事だ?」
コウの野郎、何してやがった。
自分がコウに神楽を押し付けた事を棚に上げ、怒りが込み上げた。
『とにかく急いで帰ってこい』
「言われなくても大急ぎで帰る」
乱暴に通話を切って、俺はマンションの駐輪場に駆け出した。
コウのヤツ、帰ったら殴ってやる。
神楽を守りきれねぇなんて、情けなすぎるだろ。
そう思っていた俺は、溜まり場で頭にぐるぐると包帯を巻き、あちこち傷だらけになったコウを見て、上げた拳を静かに降ろした。
神楽、どこに居る?
泣いてねぇか? 怯えてねぇか。
直ぐに助けてやるから、頼むから無事で居てくれ。
俺にもう一度、あの元気な顔で笑ってくれ。
お前の笑顔を二度と消したくねぇんだ。
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